STORY
2学期の終わり、娘は志望校を決めてきた。その大学でないとできないことがあるらしく、絶対に受かる、と燃えている。
まずは2月にある模試でいい点をとるのだと、夜遅くまで頑張っている様子。日付が変わる頃にはお腹が空いてしまうらしく、リビングにやってくる。太りたくないし、でもお腹は空いた、とボソボソ言いながら冷蔵庫を開けたり閉めたりしている。
普段なら自分のことは自分で、と言うところだが、今日はちょっと甘やかしてやろう。何かつくってあげるから部屋で待ってなさい、と声をかける。娘の好きな豆乳を使って、この時間でもヘルシーに食べられる夜食を作ろう。
娘の好きな根菜を、3種類。カボチャ、大根、玉ねぎ。全て先にレンジで加熱するから、煮込み時間も少なく簡単だ。豆乳とだし汁を入れて、それから味噌を溶かす。そう、これは豆乳を使ったおみそ汁だ。いつもの料理に豆乳を入れて、もっとおいしく。私なりの応援だ。
香りに呼ばれてやってきた夫は、味見してあげようか、とニコニコしている。食いしん坊の夫もカワイイけれど、まだダメ。娘が食べてからねと、待っていてもらう。オレも受験生のとき夜中にラーメンとか食べてたなぁ、とか言っていて、なぜだか満足げだ。
お盆におみそ汁とお箸を乗せ、娘の部屋をノックする。
「待ってました。いいにおいしてたもん」
熱々をすすりながら、何度もうなずく娘。
「体に染みる〜。これなら遅い時間でも気にせず食べられちゃうや。」
ゆっくり食べなさいね、頑張って、と励まし、リビングに戻ると、テーブルにはふたり分のおみそ汁が用意されていた。たくさんあったしせっかくだからみんなで、と夫が言う。
みんなで同じ夜食を食べるのも、何かの願掛けかな? なんだか笑っちゃうけど、これはこれでいいかも。豆乳で送る、私たちからのエールです。
頑張る娘に送る、エールの豆乳みそ汁
fin.