STORY
私たち夫婦はとっても気が合うし、意図せず何でもお揃いになりがちだ。それは、お揃いにならなくてもいいのにと思うことまで、似ちゃっていたりする。
そう。私たちはふたりとも、夏が苦手だ。
アウトドア好きのわりに、暑さに弱い。でも、エアコンの風も苦手。いわゆる「スタミナ食」をモリモリ食べようという気には到底なれないし、とはいえ何も食べなければどんどん元気がなくなっていく。夏バテだ。いい解決策が見つからないまま、今年も夏がきてしまったなぁ。
今日もあんまり食欲がない。のろりのろりと夕食のことを考えていると、夫がスマホで見つけた「冷や汁」のページをシェアしてきた。夏バテ解消レシピとして、紹介されていたらしい。
魚やきゅうりなどを、味噌仕立ての冷たいだし汁に合わせた郷土料理。そういえば昔、実家でつくってもらったことがあった気がする。私、その頃から夏に弱かったんだもんなぁ。
だし汁でつくるのもおいしいけれど、手軽で栄養満点にするには、豆乳を入れるレシピもあるらしい。夫は結構食に保守的だから、豆乳、どうかな。でも、身体のことを考えたら、おいしくて栄養のあるものを食べてほしい。ここはひとつ、やってみるか。ソファからスッと立ち上がり、「つくってみるね」と宣言する。
魚は夫の好きなツナ缶で。火を使わなくていいから、私も楽だ。味噌を溶かして、豆乳をおいしいスープに変えていく。最後に豆乳と水を加えて、私たち夫婦が大好きな薬味を盛り付ければ、あっという間に完成。
意外とカンタンだけど、調理中はずっと、「夫が喜んでくれたらいいな」と考えていた。きっと昔、実家の母も同じ気持ちで私に冷や汁をつくってくれていたのだろう。
味噌と豆乳はやっぱり相性がいいし、シンプルだけど、大葉やごまの風味が食欲をそそる。身体が求めてたのはこれだったんだって感じだ。
チラリと夫を見ると、
「身体が求めてたって感じがするよ」
なんて言っていて。感想までお揃いになっちゃったね。
お茶漬けのようにご飯にかけてもおいしくて、久しぶりにスルスルと食が進んでしまった。これからの我が家の夏の定番は、豆乳冷や汁になりそうです。
夏バテ撃退!さっぱり豆乳の冷や汁
fin.