STORY
今日から子どもたちは春休み。いつもなら録画したドラマを観ながらのランチタイムも、いまは元気な小学生ふたりがにぎやかだ。
「漢字テストで百点取ったら、から揚げって言ったよ!」
催促する息子の声に、ハッとなる。そういえば、そんな約束をしていた。揚げものが面倒で、ずるずる後回しにしてしまっていたのだ。百点、頑張ったもんね。約束は守らなくちゃね。
「わかりました!今日の夜ご飯は、から揚げにします!」
お皿を洗いながらテレビに目をやると、豆乳を使った料理が紹介されていた。毎日飲んでいるけど、豆乳を料理にと考えたことはなかった。紹介されるレシピを見ると、おいしそう。いやでも、子どもが食べる料理に豆乳ってどうなんだろう?
気になった私は、大学時代の友人へ聞いてみることに。子育てや料理、「これってどうしてる?」と聞きたいことは、何でもグループトークで共有している。
「うちはハンバーグとかから揚げに豆乳使うよー。たんぱく質とれるし、アレルギーがないならオススメ!」
早速返信をくれたのはモエだった。モエのところには、食べざかりのサッカー少年がいる。さすがのアレンジだ。モエのオススメなら、やってみるしかないね!
十六時過ぎくらいから、子どもたちはキッチンの周りをウロウロ。「夜ごはんまだ?」「お手伝いする?」待ちきれないふたりをなだめながら、私は冷蔵庫から豆乳と白だしを取り出す。
こんなふうに新しいことへチャレンジするのは、じつは昔から好きだった。子どもを産んでからも変わらない。子どもたちがどんな顔するだろうか、喜んでくれたらいいなと試行錯誤するのも、結構幸せなのだと思う。
カラッと揚がったから揚げをお皿に盛る。ごまのような、まろやかで香ばしいにおい。新しいものを試したときほど、早く食べてみてほしい気持ちになるのがちょっと不思議だ。
すかさず、「運んであげるよ!」と子どもたちが駆け寄ってくる。今日は、お手伝いをする気満々みたい。
いつの間にかこんなこともできるようになったのねと、関心しながら。私の春休みは、子どもの成長を実感する、とても大切な時間なのかもしれない。
新しい学年も、ふたりが元気いっぱい過ごせますように。
春のチャレンジレシピ
fin.