STORY
料理は好きだが、毎日献立を考えるのは、正直面倒だと感じる日もある。そんな私にとって、鍋料理は強い味方だ。カンタンだし、野菜もたっぷり。そして食卓も盛り上がる。いいことづくめの料理なのだ。
ただほんの少し悩みどころなのが、娘の好き嫌いだ。嫌いとまでは言わずとも、こっそり野菜を避けてお肉やお豆腐ばかり食べているのを、よく見ている。私も子どものときは野菜が嫌いだったから強くは言えないんだけれどね。
なんとなく見ていたSNSで見つけたのが、豆乳をベースとした「デコ鍋」だ。友人がみぞれ鍋の大根おろしで雪だるまをつくっていて、コレだとひらめいた。娘はキャラ弁をつくるといつも残さず食べる。それに、大根おろしも、豆乳と合わさると甘さが引き立っておいしそう。
かわいくデコって、さらに子ども向けのマイルドな味わいになるなら、やってみるしかないね。
材料を揃えにスーパーへ行くと、すっかりお鍋の季節。きのこ、大根、ネギ。こういう、季節を感じられる食事が、私は大好きだ。豆乳仕立てのお出汁を吸った油揚げのおいしさを想像しながら、豆乳もカゴへ入れる。
雪だるまづくりは、子どもたちにやらせてみよう。目はしめじ、鼻はにんじん。ふたりがそれぞれ、自分なりのセンスを発揮してくれたようだ。
いつもはできあがったものを食卓に出すのだけれど、今日は火を入れる前にみんなでデコレーションした鍋を眺める。
「パパ! しゃしん、とっといてね」
自分がつくったお鍋に、娘はごきげんだ。
ふたをして、具材が煮えたら、さあ完成。雪だるまは溶けてしまったけれど、娘は上機嫌のまま。
「やさい、いかがですか?」
と、しきりに聞いてくるほどだ。もちろん彼女も、この日は野菜を好き嫌いなくたくさん食べる。豆乳のやさしい味と大根おろしの甘みがよく合って、大人も子どもも一緒に楽しめる味わい。栄養も、満点だろう。
シメの雑炊まで残さず食べて、家族全員すっかり満腹。明日も雪だるまつくる、なんて兄妹ふたりは楽しそうだ。おいしく食べて苦手も減らして。ちょっとやり方を変えるだけで、料理ってまだまだ楽しくできるのだなと、改めて思います。
娘のチャレンジ 雪だるまのデコ鍋
fin.