STORY
夕食後、普段ならすぐお風呂に入る娘。しかし今日はめずらしく、リビングに残ったままテレビを観ている。何をそんなに真剣に……と思えば、どうやら料理番組。バレンタインの手づくりお菓子に興味を持っているようだ。
「ママ、これ。できる?」
画面を指差しながら聞いてきたのは、ピンクのチョコレートで彩られたチュロス。娘が自分から何かをやりたがるのは、ちょっとめずらしい。今年のバレンタインは、娘と一緒に手づくりするのもいいかもしれない。もちろんできるよと、次の土曜日は一緒にチュロスづくりの約束をした。
娘も楽しみにしていたようで、少し早く起きてきた土曜日。材料はほとんど家にあるものでよさそうだったが、せっかくなのでスーパーの買い出しから一緒に。チョコスプレーやいちごも、今日は盛りだくさんだ。トッピングはもちろん、生地だっておいしく。今日は豆乳を使ってみようかな。コクのあるやさしい甘みは、きっとチュロスの生地にぴったりだ。
生地づくりは、混ぜるのに力がいるからママが。生地を絞り袋から絞るのは、娘の担当だ。お手本を見せて、そうっと絞る。最初は上手くハートにならなかったが、何度かやるうちにだんだん形がよくなる。
「これはママ、こっちはパパの。お兄ちゃんはコレかな?」
キレイにできた順に、私たちへくれるらしい。ありがと。やさしいもんね。
こんがり揚げたら、デコレーションは娘のセンスの見せ所。ピンク色のチョコレートへとディップしてチュロスを染めては、ひとつずつ掲げて見せてくれる。お気に入りの大きなお皿に並べたら、完成!そわそわ待っていた夫と息子を呼び、飲み物を準備したら、バレンタインパーティーの始まりだ。
見た目もかわいいが、味だってもちろん最高だ。チュロスのやさしい甘みと、いちごの甘酸っぱいチョコレートが合う。娘の写真も、娘がつくってくれたチュロスの写真も、いっぱい残しておこう。
娘は、次はケーキをつくると意気込んでいる。つくったものを食べてもらえるって、嬉しいよね。また一緒にお菓子づくりしようって、約束して。パーティー存分に楽しんだのでした。
家族のバレンタインは、娘と作る豆乳チュロスで
fin.